メッシの退団理由となったサラリーキャップ。バルサが苦しんだ条件

2021年6月末でスペイン・バルセロナとの契約が切れていたリオネル・メッシ選手は、一度は契約延長で合意との報道がありましたが、8月5日、契約延長ができず、退団することが発表されました。

バルセロナが公式ホームページで説明している経緯では、

クラブと選手が合意に達し、新たな契約を締結するという明確な意思があったにもかかわらず、ラ・リーガの定める経済的・構造的な障害のために実現できなかった

https://www.fcbarcelona.jp/ja/football/first-team/news/2181095/a-barca-legend

としています。「ラ・リーガの定める経済的・構造的な障害のために実現できなかった」というのは、『サラリーキャップ』という、プロスポーツによく見られる制度のことです。

その制度上の条件をクリアできなかったことが今回の退団の原因となってしまいました。詳しく見てみましょう。

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メッシとバルセロナ。ユース時代から在籍し、トップで17年プレー

メッシとバルセロナはこれまで切っても切れない関係で歩んできました。

アルゼンチンで生まれ育ったメッシは、幼少期、アルゼンチンの強豪チームでサッカーをプレーしていました。しかし、10歳の頃、成長ホルモンの分泌異常の症状が見つかり、チームの支えで治療を行いながらプレーしていたものの、アルゼンチンの経済事情の悪化で援助が打ち切られます。そこへ、メッシの才能に惚れ込んだ代理人の計らいでバルセロナのユースに加入でき、治療や家族の生活も保障してもらえるようになりました。

13歳でユースに加入し、17歳からはトップチームでプレーするようになり、チームの長年にわたる快進撃に大きく貢献してきました。

個人でも数々のタイトルを獲得し、サッカー史上最高の選手と評価する人も多くいます。

アルゼンチン代表にも2005年から選出され、2010年からはキャプテンを務めています

そんなスーパースターが、本人もチームも望まない形で退団が決まってしまいました。原因となったサラリーキャップについて見てみましょう。

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メッシの退団理由となってしまったサラリーキャップは年俸に係る制度

サラリーキャップとは、プロスポーツにおいて、各チームが所属する選手に支払う年俸総額に上限を設ける制度です。毎年、リーグ全体の収入に基づいて上限金額を調整するようになっていますが、団体ごとに様々なルールがあります。

多額の年俸を支払う選手の獲得に制限をかけ、チーム経営の健全化を図るとともに、特定の財力のあるチームに戦力が偏ることも抑制する目的があります。

アメリカンフットボールのNFLでは、サラリーキャップによってチーム力の拮抗が図られ、3連覇をするチームが未だにないという効果も生んでいます。

スペインでは、2013年から、リーガ1部&2部クラブの債務削減を目的としてサラリーキャップが導入されました。2019年には、岡崎慎司選手がマラガに加入するも、選手登録が認められず、エスカに移籍することとなったのはサラリーキャップのためでした。

では、今回のメッシ選手のケースはどうだったのでしょう。

メッシとバルセロナがクリアできなかった条件は?スペインリーグの場合

今回、メッシ選手は2021年6月末で契約が切れたため、バルセロナと契約延長の交渉をしていました。双方が延長を望んでいて、8月3日の報道では、年俸50%ダウンで合意し、5年の契約延長が決定したという話もありました。8月8日からのイタリア1部ユベントスとのジョアン・ガンペール杯への出場を希望していて、それまでに発表がなされるだろうとの予想でした。

スペインリーグのサラリーキャップの規定では、現状以下のようになります。

バルセロナは、コロナ禍で減収に苦しみ、サラリーキャップの上限額が約810億円→約480億円と、約40%減となっていました。

それにより、バルセロナはサラリーキャップの上限を超過し、ペナルティの対象となってしまいました。ペナルティとして、選手の移籍や減給で手に入れた収入のうち25%しか、新契約に充てることはできない、という状況に。

すると、一度契約の切れているメッシ選手は、新契約の対象であるため、50%ダウンしても年俸80億円とも言われるメッシ選手との契約には、その4倍の収入増が無ければならない、という厳しい条件となってしまいました。

財政難にあえぐバルセロナには、対応する体力はなく、メッシ選手との契約が延長できないという残念な結果になってしまいました。

長くプレーし、公私ともに恩義のあるチームを離れるのは残念でしょうが、早く次の契約先が見つかって、メッシ選手がこれまで以上に活躍する姿を見たいですね。

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