イエローハット大手FCホットマンがシャトレーゼ事業を開始する目的

株式会社ホットマンが、2021年8月18日午後、洋菓子の製造、販売を手掛けるシャトレーゼFC契約を結び、店舗展開をする「シャトレーゼ事業」の開始を発表しました。

ホットマンのシャトレーゼ事業の発表は好材料となり、株価は急騰、ストップ高となりました。

ホットマンは、カー用品チェーン・イエローハットのフランチャイズ店舗運営を中心に、10のFC事業を行うメガフランチャイジー企業です。

このたび、スイーツで有名なシャトレーゼの店舗運営の事業を始める目的は何でしょうか。

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株式会社ホットマンのプロフィール。1984年からイエローハット開始

株式会社ホットマンの基本情報です。

株式会社ホットマン
市場情報:東証JASDAQ3190
本社:宮城県仙台市太白区西多賀4-4-17
設立:1975年
代表者:代表取締役 伊藤信幸
資本金:19億1,064万円
従業員数:1,000名
売上高:213億円(2021年3月期)
業種:小売業
ホームページ
1973年 伊藤信幸氏が宮城県古川市でミュージックテープ販売店を個人で創業
1975年 株式会社ホットマン設立。「カーコーナーホットマン」を古川市にオープン
2014年 東証JASDAQに上場

株式会社ホットマンは、代表の伊藤信幸氏が一代で築き上げた企業です。

創業したカー用品店が順調に伸びたものの、仕入れなどの面で大手との差を感じ、イエローハットのフランチャイズで事業を拡大するようになりました。現在、イエローハットの店舗は約90店舗運営しています。

1990年代末から、イエローハットとシナジー効果を見込めるフランチャイズ店舗を、隣接地に併設していくようになります。タイヤ交換などの待ち時間に他の店舗で買い物ができたり、旦那さんはカー用品、奥さんは隣のTSUTAYAで本を買いに行く、といった使い方を狙い、売上を伸ばしています。

東北地方で着々と事業を展開して来ていますが、自社の事業を地域住民のインフラと捉え、特に東日本大震災の後は、すぐに店舗の再オープンをしたり、福島県などで他社が撤退していくようなエリアでも、積極的に新規出店もし、復興、地域振興の旗振り役を目指しています。

社員教育、福利厚生にも力を入れ、女性や外国人にも働きやすいよう、柔軟な働き方を推進しているとのことです。

ネットでの、働いている(いた)方の口コミでは、
『業界の中では給与は良い方だと思う』
『子どものいる女性でも、勤務時間の調整などをしてもらえて働きやすい』
『拘束時間が長いので、勤務日は自由な時間が少ない』
『資格などがないと普通の給与では生活はカツカツ』
『仕事に慣れてくると自分の接客で商品が売れたりして行くのが嬉しく、やりがいを感じやすい』
『繁忙期は休憩がしっかり取れない』

などの声がありました。ブラックな感じは強くありませんが、待遇の向上を求める社員さんは多そうですね。仕事自体は、経験を積むと知識も高まってやりがいを感じるようですね。

会社として、地域の小中学校を訪れてトイレの掃除をするボランティア活動などしているようです。掃除は心磨き、という信念があるようです。ちなみに「ホットマン」社名の由来は、「熱い、燃える集団であること」です。良くも悪くも昭和の企業の雰囲気を残しているように感じます。

業績は、2021年3月期決算では増収増益をしていて、2022年度も、これまで通りの方針で事業展開を継続し、増収増益を見込んでいます。(資料

ホットマン伊藤信幸社長
株式会社ホットマン 伊藤信幸社長

シャトレーゼのプロフィール。低価格・高品質な洋菓子で成長を続ける

シャトレーゼの基本情報です。

株式会社シャトレーゼ
市場情報:未上場。法人番号4090001007288
本社:山梨県甲府市下曽根町3440-1
創業:1954年(和菓子製造店舗「甘太郎」オープン)
設立:1964年(洋菓子製造の「大和アイス株式会社」設立)
代表者:代表取締役会長 齋藤寛、代表取締役社長 古屋勇治
資本金:5,000万円(事業会社としての株式会社シャトレーゼ)
従業員数:単体1,200名
売上高:単体 618億円 (2020年3月期)
業種:食料品
1967年 和菓子、洋菓子で分かれていた会社を合併し、「株式会社シャトレーゼ」設立
2010年 シャトレーゼは「株式会社シャトレーゼホールディングス」に。シャトレーゼブランドの事業は、分社化された「株式会社シャトレーゼ」が運営
2012年 オランダに海外1号店出店
2015年 シンガポールにアジア1号店出店
ホームページ
通販サイト
ブログ
ツイッター
インスタグラム
facebook
YouTube

上記のまとめ方では分かりにくいのですが、現在、シャトレーゼブランドの事業を運営しているのは、2010年に分社化されて設立された「株式会社シャトレーゼ」です。

1967年に設立された「株式会社シャトレーゼ」は、2010年に、「株式会社シャトレーゼホールディングス」になり、グループ企業の企画・管理をしており、代表者は、代表取締役会長の齋藤寛氏と代表取締役社長の齋藤貴子氏です。整理しておきたい方はこちらをご覧ください。

創業は、今川焼に似たお菓子を提供する和菓子屋さんでしたが、現在では和菓子、洋菓子、アイス、ワインなど400種類以上の商品を展開する総合菓子チェーンです。

「ファームファクトリー」というシステムを構築し、素材の調達から生産、物流、店舗販売までをすべて自社でコントロールしていることで、格安で高品質な商品の提供を続けることができており、強みになっています。

店舗数が増えてもドミナント戦略を採用せず、地域に合わせた商品展開をし、希少性を維持している点も優れています。

2015年には福岡の「さかえ屋」を、2021年には東京の「亀万年堂」を子会社化し、競合や、特徴のある菓子ブランドの取り込みも積極的に行っています。

アレルギー対応スイーツの開発にも業界内では早くから取り組んでおり、品質・価格・安全性の面でも業界をリードする存在になりつつあります。

フランチャイズ店舗の割合は約9割とされています。フランチャイズでの出店については、初期費用として5,000万円~6,000万円かかるようですね。(資料

投資額は大きいですが、研修制度もしっかりしており、商品力も高く、月間売上1,000万円は見込めるパッケージは、将来性が大きいと見ていいのではないでしょうか。

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ホットマンがシャトレーゼ事業を始める目的は?

株式会社ホットマンは、従来より、イエローハットを軸に、隣接地に魅力のあるブランド店舗を運営することで、利便性を高めて複数店舗を同時に利用してもらうことを狙いにしています。

その中で、2018年頃からシャトレーゼのブランドには目を付け、出店地の模索を始めていたとのことです。そしてこの度、仙台市太白区の、ホットマン運営イエローハット店近くの立地で、シャトレーゼ側から出店申請、加盟審査に許可が出たため、契約に至りました。

これまで、イエローハットに隣接してTSUTAYA、コメダ珈琲、DAISO、宝くじ売り場などの運営でシナジー効果を確認してきているホットマンにとっては、いわば「勝ちパターン」のカードが増えた形になるのではないでしょうか。

また、ホットマンが根を下ろしている東北エリアでの出店の余地がまだまだあるという認識もあることでしょう。

ちなみにシャトレーゼ店舗は、秋田県、徳島県、香川県、沖縄県には無いという現状があります(2021年8月時点)。

コロナ禍にあっても業績を伸ばしている企業同士の協力関係ですので、市場で好材料と受け取られたのもうなずけます。

ホットマンのシャトレーゼ事業1号店のオープンは2021年末を予定していますので、まずはその店舗の成功を見守る感じになりますね。

社会
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