足利山火事の原因を特定?犯人が分かるとどうなる?補償はあるか

栃木県足利市で2021年2月21日に発生し、3月15日に鎮火した山火事について、足利市は、3月30日、「出火原因はタバコと推定される」と発表しました。

消防などによると、両崖山山頂から200メートルほど離れた火元とみられる場所で複数のタバコの吸い殻が見つかった、ということです。

この山火事では、幸いなことにけが人や民家への被害が発生する前に鎮火ができましたが、周辺の305世帯に避難勧告が出され、また、オンラインゲーム『刀剣乱舞』に登場する御岳神社が全焼するなどの被害がありました。

出火原因は、特定、とまでは至らないものの、状況的に絞られました。タバコが原因であれば、犯人は見つかるのかと、関心は移っていきます。

もしタバコが出火原因であった場合、犯人が分かった場合どうなるのでしょうか。また山林の持ち主など、被害を受けた方には、補償等はあるのでしょうか。

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足利市山火事の経緯。ハイカーが出火を目撃。困難を極めた消火活動

2021年2月21日、足利市両崖山で火災発生
2月22日 栃木県は災害対策本部を設置し、自衛隊出動を要請
3月1日 和泉聡市長は「鎮圧」を宣言。305世帯に出していた避難勧告も解除
3月15日 「鎮火」を宣言
3月17日 ハイキングコースの入山規制を解除

今回の火災は、出火から鎮火まで23日を要しました。

火災は2月21日午後、登山客が見つけ119番したことで消防に知らせが届きましたが、おそらくその登山客と見られる方が残した記録が、ハイカーの登山記録を投稿するサイト『YamaReco』に残っています。

記録によると、その方が両崖山の山頂に向かう途中の東屋で、タバコを吸う男性のグループを見かけていたそうです。そのまま山頂を過ぎ、隣の天狗山を登り始めると、先ほど通過した東屋の辺りから煙が立ち上っていました。

天狗山山頂まで来ると、煙だけでなく炎も確認でき、すぐに通報されたそうです。

山に慣れた方がすぐに通報して下さったので、少しでも早く消火活動が始められたのだろうと考えると、感謝ですね。

しかしながら、火の手は瞬く間に広がり、鎮圧、鎮火に至るまで、周辺住民の生活を脅かし、不安を与えました。県などの調査によると、焼けた面積は167万平方メートルに及び、森林の被害は3200万円にのぼりました。

山火事が大きくなった要因には、この時期の群馬、栃木に特有の『赤城おろし』と呼ばれる北西の季節風が強く吹き付けていたことや、魔の13時間』とも呼ばれる、夜間にヘリコプターが飛べず、地上の消火活動も困難になる時間帯の対応が難しかったことなどがありました。

他にも、ネット上では、撮影や野次馬の目的で現場周辺に来られる人のせいで交通渋滞が起きている、という投稿も多く見られたので、そういった迷惑行為も、このような災害時には控えるよう、皆で気を付けなければなりませんね。

足利市の和泉市長は、今回の経験を踏まえて、再発防止策として山林内で火気の取り扱いを規制する条例を整備する考えを示しました。

足利山火事の犯人はタバコを吸っていた男性?失火なら処分はどうなる?

ハイカーの目撃情報によると、両崖山の東屋で休憩をしていた男性グループが関わっているのではという疑いを持ってしまいますね。

もしあのグループが、タバコの火をしっかり始末しなかったために今回の火災が起きたとしたら、犯人はどうなるでしょうか。

失火(過失から起こした火災)による山火事に関しては、民事上の賠償責任、刑事においては、森林法違反重過失失火罪などが適用されると禁固刑、罰金刑となることがあるようです。以下に専門家の見解を引用します。

山火事の原因がタバコのポイ捨てやバーベキューの炭を放置したことにあるなら、一般的に焼損させた人物が民法上の損害賠償責任を負います。ただ、失火については失火責任法という特別な法律があり、重大な過失がある場合にのみ責任が問われるのです。ここで言う重過失とは、“わずかな注意さえあれば容易に違法有害な結果を予見できたにもかかわらず、漫然と見過ごしたような状態”を指します。たとえば、落ち葉が降り積もった場所で焚火をして、火を消さないまま立ち去った場合などです

『デイリー新潮』2021年3月9日記事より

「重大な過失」がある場合に、失火責任法に基づいた賠償責任が問われるということのようです。また、その場合について、

重過失の場合、失火加害者だけが責任を負いますが、これほどの大火災なので5千万円という損害額も有り得ると思います。仮に、近隣の工場や企業が稼働停止になったり、私立学校が休校に追い込まれていれば、さらに損害額が膨らむ恐れもあるのではないか

『デイリー新潮』同記事より

としています。今回の火災については、3200万円の損害額と推定されていますので、重大な過失が認められると、その額が賠償額になりうるということでしょう。

※(2021.9.21追記)上記の『YamaReco』に投稿された方の追記を見ますと、その方が目撃した喫煙者は、状況的に、火災の原因を作った人ではなさそうです。あまり登山客が行く場所でないところが火元で、火災を起こした本人は自覚しているだろう、との見立てもなさっています。

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足利山火事で被害を受けた場合は補償されるのか?

今回、3200万円という被害額が算出されていますが、内訳までは分かりませんでした。神社が全焼したことや、農家への被害、土地所有者の方の財産が消失したものと思われますが、こういった被害に対する補償はあるのでしょうか。

1.重過失による場合は、加害者による賠償で補われることになるのでしょう(資料)。

2.重過失でない場合は、被害を受けた方が加入している火災保険などになるかと思います。

2の場合を更に見ていきましょう。

2-1.家屋でしたら、通常、火災保険に加入しているでしょうから、そちらからの補償になるでしょう(資料)。なお、その際に所有する車も損害を受けたりした場合には、車の方で車両保険に入っていなければならないようですよ(資料)。

2-2.所有する森林が被害を受けた場合、『国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林保険センター』が運営する森林保険に加入していれば、補償の対象となるようです。また、今回の足利山火事に関しては、「災害救助法」の適用がなされているようで、保険の申請期間等に特例措置がなされるようです(資料)。大きな災害が起きた場合には、こういった特別な法律による救済措置もあるかもしれませんので、そういった情報にも注意が必要ですね。

自分が被害者でも、自分の保険で賄わなければならないことがあるのが、火災に特有な点ですね。ご自分の保険を把握しておく必要もあるかと思いますし、そういった時に公的な援助が行われるかなどについても、積極的に情報を取りに行った方が良さそうです。

社会
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