フーリハン・ローキーがGCAに対しTOBで完全子会社化。理由は?

2021年8月3日、GCAは、アメリカのフーリハン・ローキーが、GCA株を1株1380円で株式公開買い付け(TOB)すると発表しました。

買い付け価格はGCA株の2日終値1051円にプレミアム約31%を上乗せした水準です。

買い付けの期間は、8月4日から9月27日で、予定する買い付け株数は4938万株。GCAはフーリハン・ローキーのTOBに賛同表明、応募推奨しています。

これを受けて、8月3日の株価は、始値1051円から、1351円のストップ高となりました。

両社のプロフィールと、TOBの狙いについて見てみましょう。

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GCA株式会社のプロフィール。2004年に日本で設立のM&Aアドバイザリーファーム

GCA株式会社の概要です。

GCA株式会社(GCA Corporation)
設立:2004年4月
市場情報:東証1部2174
本社所在地:東京都千代田区丸の内一丁目11番1号
パシフィックセンチュリープレイス丸の内 30階
役職員数:446名
業種:サービス業
事業内容:M&A取引に関するアドバイザリー事業
ホームページ

2004年、渡辺章博氏と佐山展生氏が創設したM&Aアドバイザリー会社です。

2008年3月、アメリカのSavvian LLCと経営統合。

2016年8月、Altium Corporate Finance Group Ltd.と経営統合。

2019年7月 GCA株式会社を純粋持株会社へ移行し、日本における事業を移管するためにGCAアドバイザーズ株式会社を創設。

2020年4月 Stella EOC Ltd.の買収により、世界14か国に25拠点を置くことになる。

業績推移を見てみると、

(単位:百万円)2017.122018.122019.122020.122021.12(予)
売上19,75426,69023,71921,90138,500
最終益872,4392,3138643,450
https://kabutan.jp/stock/finance?code=2174

2021年については、6月2日、そして8月3日に業績予想の上方修正をしています。理由として、

当期において、欧米にてフォーカスしているテクノロジー/デジタル関連案件が引き続き力強く推移しています。2021 年 6 月 2 日に業績予想の上方修正を行いましたが、その後も特に欧州地域においては、非常に好調な業績を上げており、上半期で記録的な売上高を計上いたしました。米国、並びに日本/アジアリージョンにおいても業況は着実であることから、これらを総合的に勘案し、2021 年 12 月期の業績予想を上方修正いたします。ただし、上記の予想は、発表日現在において入手可能な情報に基づいて作成したものであり、実際の業績等は今後の様々な要因によって上記の予想とは異なる結果となる可能性があります。

https://www.gcaglobal.co.jp/investor-relations/ir-news/

以上のように説明しています。

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フーリハン・ローキーの概要。様々な評価でランキング1位を獲得。

フーリハン・ローキーのプロフィールです。

フーリハン・ローキー(Houlihan Lokey, Inc.)
設立:1972年
市場情報:ニューヨーク証券取引所、HLI(ClassA)、ラッセル2000銘柄
本社所在地:10250 Constellation Blvd Fl 5
LOS ANGELES, CA
90067-6205
United States
従業員数:1,491名(2020年)
業種:投資銀行
事業内容:金融サービス、投資銀行業務
ホームページ

日本においては、

2005年 オリックスと提携

2007年 日本法人設立

ホームページから、事業紹介を引用します。

フーリハン・ローキー(ニューヨーク証券取引所上場:HLI)は、グローバルな投資銀行でありM&A、キャピタル・マーケット及び財務リストラクチャリングに関わる業務を提供します。
フーリハン・ローキーは、世界各地において企業、公的機関、政府等の顧客に対し、米国、欧州、中東、アジアパシフィックの弊社各拠点よりご支援を行っています。
弊社の各種アドバイザリー業務に関わるご支援は独立性が高く、顧客の成功にコミットしたご支援をご提供いたします。
フーリハン・ローキーは、米国の全取引においてM&Aアドバイザリー業務において過去5年連続でNo.1、またグローバル・リストラクチャリング業務において過去6年連続でNo.1にランクされています。
また、M&Aに関わるフェアネス・オピニオンの発行件数でも過去20年超に渡りグローバルでNo.1にランクされています(いずれもRefinitiv社調べによる件数ベースのデータに基づきます)。

https://hl.com/about-us/international/japan/

現在、下記のランク評価を受けているとしています。

No. 1 Global Investment Banking Restructuring Advisor
No. 1 Global M&A Fairness Opinion Advisor Over the Past 20 Years
No. 1 M&A Advisor for All U.S. Transactions
Top 10 Most Active Global M&A Advisor

株価は、1年前の2020年8月では55ドル前後でしたが、堅調に推移し、2021年8月2日現在、89.96ドルをつけています。

業績推移は、ロイター通信がまとめた会社情報で、少し粗い数字ですが、

2019202020212022
収益(単位:百万ドル)1,1001,2001,5001,500
EPS(単位:ドル)2.8703.2004.6204.420
https://jp.reuters.com/companies/HLI.N

となっています。

GCA渡辺章博
GCA代表取締役 渡辺章博氏

フーリハン・ローキーがGCAを買収するのはなぜ?今後どうなる?

フーリハン・ローキーは、この度のTOBでGCAを完全子会社化する予定で、GCA側も賛同し、株主に対して応募推奨しています。

フーリハン・ローキーは、コロナ禍で、社会経済活動の自動化・デジタル化が急激に進展している中、GCAのテクノロジー関連のM&A取扱いの大きさに魅力を感じているようです。また、アメリカ以外の地域でのプレゼンスがまだ大きくないという課題から、GCAを子会社化することで、とりわけアジアでの足場を固めていきたい意図があるようです。

2021年8月3日にGCAが発表した資料から引用します。

公開買付者は、強力なグローバル・テクノロジー業界関連の投資銀行業務と強力なメディア業界関連の投資銀行業務を併せ持つことの戦略的メリットが、あらゆる業界でテクノロジーへの依存度がますます高まっている中で、さらに大きくなっていると考えているとのことです。公開買付者は、その産業グループを通じて、主要な業界のほとんどにおいて世界的に大きなカバレッジを有していると考えているとのことですが、特に米国及び欧州におけるテクノロジー及びメディア業界については、これらの業界をカバーする専任のバンカーの陣容をさらに拡大することによって、公開買付者のカバレッジをさらに拡大したいと考えているとのことです。また、ビジネスのグローバル化が進む中で、グローバルに拠点を持つことの重要性は高まり続けており、これと軌を一にして、公開買付者の顧客においても、世界中のさらなる多様なビジネスパートナーや投資家集団にアクセスしたいという要請は高まり続けているとのことです。最後に、投資銀行業界の競争が激化する中、グローバルに対応する能力は、公開買付者の競合他社との強い差別化要因となっているとのことです。公開買付者は、長年にわたり米国で強い存在感を示してきたものと考えているとのことですが、欧州及び中東でのプレゼンスとその拡大は、(公開買付者の既存事業の有機的成長及び買収の両方を通じて)ごく最近のことであり、今日においても、アジアでのプレゼンスは未だ限定的とのことです。
公開買付者は、当社を完全子会社とすることにより、これらの課題に対処することができると考えているとのことです。当社を完全子会社とすることにより、公開買付者は当社の事業を公開買付者の事業へと完全に統合することができるようになるところ、公開買付者と当社との間のシナジーを創出するためにはこのことが不可欠であるとのことです。両社の事業を完全に統合することによってはじめて、両社のインベストメント・バンカーがシームレスに協働して、相互のリソースと専門知識を制限を受けることなくマーケットに提供することができるようになるとのことです。さらに、公開買付者と当社とが別々の会社として各々異なる株主を有している状態では発生しうる潜在的な利益相反を、完全な統合を行うことによって解消することができるとのことです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/2174/tdnet/2007989/00.pdf

コロナ禍でデジタル関連企業の発展・統合が進む一方、業績が苦しいためにM&Aを検討する企業が増えていくであろうという状況ですが、まさにアメリカの『ハゲタカ』が狙いをつけて素早い動きを見せてきた、と考えていいのではないでしょうか。

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