ラグビーでよく聞く言葉。ノーサイド?トライ?ワンフォーオール?

ラグビーでよく聞く言葉がありますよね。2019年のラグビーワールドカップでもよく聞くようになった言葉もあると思いますし、1984年に放映され、大ヒットしたテレビドラマ『スクールウォーズ』で初めて聞いて、そういえば、と思い出す言葉もあるのではないでしょうか。

ONE TEAMはラグビー用語?

2019年のラグビーワールドカップでは、『ONE TEAM』という言葉が流行して、ビジネスマンや政治家も乗っかってよく使うようになりましたが、これは特にラグビー用語ではなく、当時のラグビー日本代表のキャッチフレーズのようなものでした。ラグビーでは、日本代表に限らず、他の国の代表も、国籍にとらわれず様々なバックグラウンドを持った選手たちが自分の代表チームのために一つになって戦うので、違いを乗り越えてチームの結束を高めるために日本代表が採用した言葉が『ONE TEAM』でした。ビジネスや政治で使われるときは、ただ単に、みんなで一緒にやる、という意味合いで使わることが多かったですね。

ラグビーでよく使われる言葉で印象に残るのは、ノーサイド、One for All, All for One、という言葉ではないでしょうか。特にドラマの『スクールウォーズ』では、これでもかというくらい、ラグビー精神を表す言葉として繰り返し使われました。

ノーサイドの精神

ノーサイドは、サイド(=敵味方の区別)がなくなる、という意味から、ゲーム終了を表す言葉です。その言葉の通り、ラグビーでは、試合が終了するとすぐに敵味方関係なく、握手やハグをしたり、会話を交わしたりして健闘を称え合います。

実はこの『ノーサイド』という言葉は、以前は使われていたのですが、もう日本以外の国ではほとんど使われません。試合終了は『full time』です。もちろん、試合終了後に相手と健闘を称え合うのは変わりませんが。ただ、このノーサイドという言葉が、日本人の心にマッチして、日本だけ使われ続けるようになっているようなのです。

2019年のワールドカップでは、この美しい言葉を、日本ラグビーのカルチャーとして改めて世界のラグビー界に浸透させようと、意識的にノーサイドという言葉があちこちで使われていたようです。

One for All, All for One: 一人はみんなのために、みんなは一人のために

One for All, All for Oneは、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という、これもまた美しいラグビーの精神を表す言葉として知られています。ただ、こちらも、日本だけで広まっている言葉であるようです。

もともとは、1618年の『第二次プラハ窓外放出事件』という、プロテスタントとカトリックの戦いの始まりの事件で、ラテン語でこの意味の言葉をプロテスタント側が読み上げ、カトリックに対する戦いの決意の強さを表したようです。その後も小説『三銃士』の主役たちの合言葉で出てきたりしていたようです。

そして、その意味も、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」ではなく、本当は「一人はみんなのために、みんなはひとつの目的(つまり勝利)のために」という意味なのだ、という説など、スクールウォーズでこの言葉を知った私からすると、そうだったのか、と後から感心することが出てきている感じです。

この『One for All, All for One』も、日本独自のラグビー文化ということで、2019年のラグビーワールドカップ日本大会では、意識的に使われていました。

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なんで得点なのに『トライ』なの?

他に挙げてみますと、『トライ』もちょっと変わった言葉だと思います。試合を観ていると、相手ゴールラインを越えたエリアにボールをグランディング(地面につけること)すると、『トライ』と認定されて、5点が加点されます。

でも、『トライ』って、試す、挑戦する、などという意味ですよね。それで得点できるのは、考えてみるとちょっと不自然ですよね。

ラグビーでは、『トライ』に成功し、そのあとに、ボールを地面に置いた状態からキックして、2本のゴールポストの間を通すことができれば、更に2点獲得できます。これをコンバージョンキックと言います。テレビ中継などでも、「コンバージョン成功です!」などと説明されます。

実は、ラグビーが始まった頃は、『トライ』だけでは得点できませんでした。そのあとの『コンバージョンキック』が成功して初めて得点でした。ですので、そのキックの挑戦権を得るために、相手のゴールエリアにボールを置くというプレーがあり、それが『トライ』と呼ばれたのです。面白いですね。

現在までにいろいろなルール改正があり、その中で、トライ自体に価値が与えられ、今ではトライ5点、コンバージョンキック2点という配分がされているのです。

ジャッカル成功!

もう一つ、2019年のラグビーワールドカップで、初めてラグビーを観るようになった人でも、良く聞いた言葉の一つに『ジャッカル』があったと思います。日本代表の姫野選手などが、相手ボールを奪って、実況の方が「ジャッカル成功~!」と叫ぶシーンが何度もありました。試合を観ている方々も、ルールに詳しい方以外は、なんだか良くわからないけど、相手ボールを奪う凄いプレーが起きたことは分かって、一緒に沸いていましたね。

ジャッカルは、オオカミに似た動物で、猛獣の食べ残しを漁ったりする習性があります。そこから、地面にある相手ボールを奪うプレーにその名前が付けられました。ただ、初めは、オーストラリア代表であったジョージ・スミス選手が、このプレーが得意であったので、彼の愛称として『ジャッカル』が使われるようになり、次第にそのプレーの呼び名として定着したようです。

相手チームのプレーヤーがボールを持って走ってきたら、守りのプレーヤーは、タックルで相手を倒して攻撃を止めます。ラグビーでは、倒れたプレーヤーは、プレーを続けてはいけないので、タックルで倒されたら、すぐにボールを離さなければなりません。そこへ、味方がすぐに駆けつけて、相手をどかして自分のチーム側にボールを確保しようとして密集ができるのですが、その前に守り側のプレーヤーがいち早く絡んで、ボールを奪おうとすると、ボールを持っていたプレーヤーは、ボールを離さなければいけないと分かっていても、離すことができず、反則となってしまいます。

このとき、ボールを奪うことに成功すること、あるいは、奪おうとして、ボールを持っているプレーヤーの反則を誘うことを総称して『ジャッカル』と呼んでいます。相手の攻撃を止め、ボールも自分たちのものにしてしまうので、試合の流れを変える大きなプレーになります。

ラグビーでは、ルールが複雑で、特に密集では何が起きているか分かりにくいのですが、ジャッカルは、2019年のワールドカップで日本代表の選手も沢山成功させ、有名にしてくれたので、分かる方が増えたのではないかと思います。

まだまだラグビー用語で印象に残っているものはあるかと思いますが、今回はここまでで失礼致します!ありがとうございました。

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