日本のラグビートップリーグ、世界のプロリーグ

ラグビー界は、長らくアマチュアリズム精神を貫き、ラグビーをすることで報酬をもらう、ということを許さず、プロリーグなどは生まれませんでした。しかし、1987年に第1回ラグビーワールドカップも始まり、各国で選手の強化も進み、プロ化への要請が強まってきた1995年、ようやくプロ化が解禁となり、世界の8強と呼ばれた伝統国では次々にプロリーグが誕生しました。

一方日本では、プロ化が解禁になってもアマチュアリズム精神に固執してしまい、世界の流れには遅れを取りました。また、1995年のワールドカップで、ニュージーランド代表との対戦で17-145と、ワールドカップ史上最多失点記録を作ってしまうなど、世界との差を見せつけられ、ラグビー自体が不人気スポーツへと転落していく渦中でもありました。

それでは1995年以降、世界で誕生したプロリーグはどのようなものなのでしょうか。

1.スーパーラグビー(NZ、豪州、南ア、アルゼンチン)

起源となったのは、1986年にスタートした『サウスパシフィック・チャンピオンシップ』のようですが、プロとしてスタートしたのは、1996年からの『スーパー12』というリーグです。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカで結成された12チームで構成されたリーグでした。

2016年からは、アルゼンチンからジャガーズ、日本からサンウルブズが参戦。世界トップレベルのゲームを経験する機会の少ない日本代表にとっては、サンウルブズのゲームを通して南半球のタフなゲームに慣れるためには、非常に貴重な存在でした。サンウルブスの参戦は5年契約となっていたのですが、色々事情があったようでして、2021年以降の契約更新をせず、2020年シーズンで脱退となってしまいました。その2020年も、コロナの影響で、シーズン途中で終了。2019年ワールドカップの後で、更なる日本選手の活躍を見たいと思っていたので、残念でした。

2021年シーズンも、コロナの収束が見えない状況のため、オーストラリア5チーム、ニュージーランド5チームが、それぞれ国内でリーグ戦を行うという変則的な開催状況です。

2.プレミアシップ(イングランド)

こちらは、リーグ形式の大会としては、1987年から発展してきていたようですが、1996年シーズンから、プロリーグとしてスタートしました。

イングランド代表の選手は、プレミアシップ12チームの中から選考されることになっているとのことです。

イングランドに行けば、週末にパブでプレミアシップのゲームを見ながらビールを楽しむことができますし、スタジアムのチケットもそれほど高くなく入手できるので、気軽に観戦に行き、現地でビールを飲みながらワイワイ楽しむこともできます。どちらにしてもビールは必須です。

もう20年ほど前になりますが、ロンドンでプレミアシップの試合を観に行ったことがあります。スタジアムが地域に溶け込んでいて、本当に親しまれている感じがしました。ゲームの途中で乱闘が起きた時、すかさずスタジアムのスピーカーで『ロッキーのテーマ』が流れて面白かったですよ。

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3.TOP14(フランス)

1892年が起源とされる、フランス単独で行っているプロリーグです。ラグビー界では世界最大の観客動員数と収益規模を誇るプロリーグと言われています。

フランス単独で開催しているプロリーグが世界最大規模の収益を出している、というのは意外に感じるかも知れませんが、確かに、ラグビー世界一を争う南半球の国々で開催しているスーパーラグビーなども、観客動員数はあまり多くなく、たまに試合の映像を見ると、コロナ以前のものでも、観客席に空席が目立っていたりしている印象がありました。

TOP14は、ラグビーワールドカップ2015で活躍した五郎丸選手も2016年シーズンにトゥーロンに所属し、プレーしました。フランスでも活躍が期待された五郎丸選手ですが、彼を高く評価してくれていた監督がシーズン途中で替わってしまうなどもあり、あまり出場機会に恵まれなかったようです。ちなみにトゥーロンという都市ですが、地中海を望む軍港都市でして、一度だけ遊びに行ったことがあります。海に面したレストランで魚介のグリルをおいしく頂いた思い出があります。

現在は、現役日本代表の松島幸太朗選手が、ASMクレルモン・オーヴェルニュに所属し、活躍しています。

4.プロ14(スコットランド、ウェールズ、アイルランド、イタリア、南アフリカ)

1999年のウェルシュ・スコティッシュ・リーグとしてスタートしたリーグ戦です。のちにアイルランド、イタリア、南アフリカのチームが加わり、現在の形となりました。

2014-15シーズン開始時からは、ビールで有名なGUINESS社がスポンサーとなり、正式には『GUINESS PRO 14』という呼称になりました。

過去19回中12回は、アイルランドのクラブが優勝しています。

日本人選手が活躍しているチームはないようです。

5.メジャーリーグラグビー(アメリカ、カナダ)

2018年に設立されたばかりの、アメリカ、カナダのチームで構成されるプロリーグ。始まって間もないですが、アメリカ、カナダは、ラグビーの実力的にも、マーケットとしても、ポテンシャルの大きな国であると注目をされてきている国ですし、確実に力をつけてきているので、これからの発展が楽しみなところです。

日本からは、日本代表78キャップを誇る畠山健介選手が2020年から、ニューイングランド・フリージャックスに加入しています。日々の練習や試合の報告は畠山選手のツイッターで見ることができますよ。

レベルも上がってきているアメリカ、カナダですので、世界のトッププレーヤーも続々参戦しています。ニュージーランド代表キャップ103のマア・ノヌーが2020年に参戦(後にフランスのTOP14に戻りましたが)、南アフリカ代表キャップ117のムタワリラ、オーストラリア代表121キャップのアシュリークーパーも同年に参戦しています。

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6.ジャパンラグビートップリーグ(日本)

日本では、以前は地域ごとに社会人リーグがあり、それぞれの上位チームで日本一を争う形で続いてきましたが、2003年に、現在のトップリーグが開幕しました。

チーム編成や、優勝チームの決定方法など、試行錯誤を続けていますが、他の成功しているプロスポーツにには遅れを取りながらも、少しずつファンサービスなども充実させてきており、文字通り日本のトップレベルのリーグとして日本ラグビーをけん引している大会です。

トップリーグは、海外のプロリーグとは違い、基本的には、企業のラグビー部で構成されています。ほとんどの選手はそれぞれの企業の社員として所属し、普段は営業職などの仕事をこなしながら、ラグビーの練習をしています。中にはプロ契約をしてラグビーに専念しているプレーヤーもいますが、全体の2割程度であろうと考えられています。

近年は、世界中のトッププレーヤーがトップリーグに加入してきており、2019年のワールドカップで見たスタープレーヤーも数多く参戦しています。試合によっては、グラウンドに立っている選手のほとんどが、ワールドカップに出場していた選手である、という状況もありますので、観戦に行ける状況になりましたら、是非行ってみて欲しいと思います。

ラグビー
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