「フットボール」の一つとしてのラグビー。サッカーから独立して進化
サッカーとラグビーはイギリスのイングランド発祥のスポーツです。イギリスでは、どちらも大人気のスポーツで、週末はパブで昼間からビールを飲みながらテレビ観戦をして、大声を出して応援をする人達を街のあちこちで見ることができます。
実はサッカーもラグビーも、もとは一緒のスポーツでした。「フットボール」として、イギリス中で楽しまれていたスポーツなのですが、地域によってルールがまちまちでした。19世紀後半から、地域の代表が集まり、ルールの統一を図る会合が複数回開かれ、次第に今のサッカーとなっていくスポーツの形が作られていきました。ですので、イギリスで「フットボール」と呼ぶのはサッカーのことになります。「サッカー」でも通じますが、みんな「フットボール」と呼びます。
ラグビーはというと、まだフットボールが地域によって違うルールで行われていた1823年、イングランドのラグビーという都市にあるパブリックスクール(名門私立学校)で行われた試合で、ウィリアム・ウェブ・エリスという少年が、ゲームに熱くなって、ボールを抱えて走り出してしまったのが始まりと言われています。
このことは、ラグビーの始まりとして伝説になっていて、ラグビーワールドカップで、優勝チームに授けられるカップも、「ウェブ・エリス・カップ」と呼ばれており、カップにもその刻印がされています。
初めてラグビーのルール整備がされたのは1845年と言われており、1871年には、ロンドンでラグビー協会が設立されました。サッカーは「フットボール」として統一されていきましたが、ラグビーは「ラグビーフットボール」として独自の進化をしていくことになりました。
ラグビーの日本への伝来と普及。横浜でイギリス人が初めてチーム結成
日本にラグビーが伝わったのは、1899年に、慶応大学の英語講師、エドワード・ブラムウェル・クラーク氏が学生たちに教えたのが始まりとされてきましたが、近年、イギリス人歴史家のマイク・ガルブレイス氏が調べたところによると、1866年にイギリス人のラグビーチームが横浜港で結成されていたようです。また、それより前の1863年に日本で行われたクリケットの試合の記事では、ラグビーもやっていると思われる内容が含まれていたそうです。1873年にも、試合が行われた記事があることを調べ上げました。
ガルブレイスさんの粘り強い調査が実り、ラグビーワールドカップ日本大会が開かれた2019年9月には、横浜にラグビー記念碑が建てられ、そこには、1866年、この地にラグビーチームが発足されたと刻まれているそうです。
ですので、1899年は、日本初の「ラグビー部」の誕生ということになりますね。慶応大学ラグビー部誕生の後は、早稲田大学、明治大学、同志社大学など、現在も強豪として活躍している大学から広まっていき、日本人の間でも普及していきました。
ガルブレイスさんの調査にで明らかになった記録によれば、日本で初めてラグビーがプレーされてから、150年以上が経つのですね。そして2019年には日本でラグビーワールドカップが開かれ、世界中のトッププレイヤーが集まり、日本代表も立派な戦いを見せました。歴史を見ていくと、感慨深いものがありますね。
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